泥臭く生きて、周りの放つ光を大事にしたい ー 水谷将章 (株式会社ステキバリエーション 代表取締役)

「株式会社ステキバリエーション」を起業し、福祉事業に邁進する水谷将章(みずたにまさあき)さん。

常に笑顔で軽快に冗談を飛ばす水谷さんですが、その人生には大きな絶望の谷が・・。ドン底からの復活と、移住した高山で描く未来を取材しました。

社長さんになりたい!名古屋で過ごした子ども時代。

愛知県名古屋市中村区で生まれ、大学卒業までは名古屋で過ごしていました。小さい頃から人と同じことができない悩みを抱え、やんちゃで先生にはよく叱られてましたね。でも実は小学生の時から経営者になるのが夢だったんです。母親を運転手付きの車に乗せたいと思いまして、「社長さんになりたい!」とよく言っていたみたい。

 

大学は名古屋にある名城大学の都市情報学部に入学して、まあ学生時代は遊び呆けていました。でも大学2年生の時、僕の夢は経営者になることではなかったのかという反省から、試験を受けて経営学部に編入して一生懸命勉強します。

 

就職活動をしていたある日、慌てていたんですかね、証券会社の説明会に行こうと思ったら会場を間違えて、自動車メーカーのスバルの説明会に参加してしまったんです。まあビジネスを学べるなら扱う商材はなんでもいいやと思い、しかし父親が乗っている車は日産だったので日産自動車のディーラーへと就職を決めました。

 

数回の転職とドン底からのスタート。

岐阜県本巣市に配属になったのですが、9ヶ月で辞めちゃいましたね。今思えば、完全な自分の実力不足なんですけど、より早く起業したいという焦りから落ち着いて仕事ができなかったんです。若さゆえにどうしてよいのか分からずに転職しちゃいました。それで知り合いの中古車屋の社長の下で働くことを決意して、愛知県岡崎市に移り2年間修行します。

 

その後はご縁から居酒屋の店長を任され、ひどい時には一日20時間近く働いていたんです。スタッフのマネジメントはすごく学べたんですけど、激務で心も身体もボロボロで長くは続かなかった。「自分は一体なにをやっているんだ、なんでこんなに続かないんだろう。」自分を責め続けて本気で落ち込んでいたのが、27歳の時でした。

 

 

そんなときに再会した知人からコーチング(対話によって相手の自己実現や目標達成を図るコミュニケーション技法)を教えてもらいました。最後のチャレンジにと、なけなしのお金を払ってコーチングや心理学を学んだんです。そうして自分の感情や気持ちと向き合う中で、少しずつ前向きになります。でも誰かのもとで働くイメージはできなくて、当然お金がないから事業もできない。だけど気持ちだけは上がり続けている状況でした。

高山への移住とふとした言葉で人生が動き出す。

学生時代からお付き合いしていた彼女が高山出身で、28歳の時に心機一転、一緒に高山に移住することを決意したんです。彼女のご両親もそんな状況の僕との同棲を許可してくださった。とはいえ半年くらいはあまり動けずにいました。コーチングの企業研修やスポーツ選手のメンタルコーチなど、ちょっとした仕事はしていたんですけどね。

 

彼女は福祉の仕事をしていて、たまたま「障がいを持つ子どもたちを預けられる場所がないんだよね」という話を聞いたんです。その瞬間に、障がいを持つ子どもの親御さんが嬉しそうに美容室で散髪しているイメージが鮮明に浮かんだんです。なるほど親御さんが常に子どもといるしかない状況なら、髪の毛を切りにいくこともできないのかと気づきました。

 

実際に調べてみたら多少施設はあったけれど、平日に日常的に使える場所はなかったんですね。福祉は整っていて当たり前だと思っていた自分にとってその事実は衝撃的で、これはなんとかしなければならないと起業を決意しました。

 

そこで高齢者施設を運営している友人に相談したら、障がいのある子どもたちが通える場所として「放課後等デイサービス(障がいのある就学児向けの学童保育サービス)」という仕組みがあると教えてくれたんです。その友人から150万円を貸り、銀行にも事情を全部話して追加の融資をしていただき、会社をつくったのが約5年前の29歳の時でした。当時の心境としては上手くいくのか恐怖もありましたが、それ以上になにもできていなかった自分自身からの解放感で、とにかく前に進むしかないと意気込んでましたね。

 

徐々に利用者が増えてサービスを喜んでくれる方もいました。そうして事業所をいくつか展開しながら、なんとか障がい者の方にも働く環境の提供と賃金向上を目指したいということでiphoneの修理事業も始めました。まだまだ障がい者の方の雇用形態まではできていないんですけど、いずれは形にしていきます。

 

最近始めた事業である「元気づくりジム ミナギル」は、僕の友人が他の土地で既にやっていた事業です。たまたま見学しに行ったら目の前で、歩行に不自由を感じていた人が歩けるようになったのを目撃したんですよ。これは高山に必要だと思って、友人に教えてもらいすぐに作っちゃいました。今の時代は物が溢れ過ぎて困っちゃう時代だから、ある程度手放していくシンプルな生き方にシフトしていると思うんです。そうなると自身の健康や生きがいが一番大事ですからね。

 

僕自身、人が身体も心も健康になっていくのに直接関われるのが一番嬉しい。そういった事業を今後も会社でおこなっていきたいので、多くの人に利用してもらえたらありがたいです。設備やスタッフのサービスには自信がありますからね。

 

「よそ者」は飛騨に試されている。

起業当初、とある人たちからは「よそ者のお前になにができる?」「株式会社だなんて金目当てなのか?」などなど、心ない言葉を多く投げかけられました。「よその人」っていうニュアンスだけじゃなくて「どこの馬の骨じゃ」みたいな敵意を少し感じたんです。福祉事業とはいえ、当然収益を上げないと事業を継続できないのですが、僕がそう口で言っていても説得力がないから、やっていくことで認めてもらうしかない。

今思うと「よそ者」って言われるのはコミュニケーションの一種なんですね。飛騨に試されている、洗礼です。そこを飛び越えたら逆にグッと距離が近くなった気がします。

 

この飛騨の地域には人として尊敬できる方が多いです。それはAI(人工知能)じゃ代替できないですよ。 ただあくまで僕の主観だけど、良いものは良いとお互いに認め合う姿勢がもっと広がったらいいなと思う。飛騨地域は人と人との繋がりが深いから、そこで突き抜けるのは勇気がいるよね。狭い地域だからこその付き合いは魅力的でもあるけど、やりにくさを感じて水面下で進めるくらいならどんどんやっちゃえよ!人の問題だからいいじゃん!と思うんです。進むところは進まなきゃ。

 

僕みたいに高山の良さに漠然と惹かれている「よそ者」はとっても多いと思う。知らないだけで実はいろんな仕事も選べるし、住めば都になりやすい地域ですよ。たまには都会のネオン街に憧れる日もありますが(笑)。

 

自身は泥臭く生きて、周りの放つ光を大事にしたい。

社名である「ステキバリエーション」は、一人一人の素敵を会社を通じて前に出していきたい!と思ったら降ってきました。いまだに上手く言語化はできないんですけど、一人一人の存在価値を、その人が放つ光を大事にしたいんです。

 

僕は障がいがあるとかないとか、あまり思ったことがないです。子ども達も僕のことを「しゃちょー」とか「まちゃー」とかあだ名で呼んでいるんだけど、それはつまり人と人という個人で繋がっているだけ。肩書きは一つのツールでしかないですね。僕は泥臭く生きたいんです。人に揉まれ続けて、人間味に溢れて生きていきたい。

 

 

一回ドン底に落ちた時に味わった感情は、誰の役にも立てていない虚しさからの自己嫌悪だったんです。今思えば、周りと比べて劣等感を感じやすい自分でした。勇気を出して自分で勝負をしていくようになったら楽になって、今は少しだけ胸を張れますかね。できていないこともいっぱいあるけど、できていることも一つ一つ確認して進んでいます。変に大人になろうとせずに心は子どものまま、スタッフや周りの人たちの「やりたい!」の声に素直に答えたい。

 

自分が存在していることで誰かの役に立てたらすごく幸せですし、いろんな人に救われてきたからこそ僕は生きているんです。今では彼女とも無事に結婚して、2歳の可愛い娘がいます。本当に娘が可愛いんですよ。これからもみなさんのお役に立てるように頑張っていきます。

 

自身がドン底を経験したからこそ、深い深い人間愛に溢れる水谷さん。

その熱い想いが動かす優しい事業は、今日も多くの人々を笑顔と健康にしています。

連絡先・募集事項

水谷将章(みずたにまさあき)

https://www.facebook.com/profile.php?id=100003220355536

元気づくりジム「ミナギル」

住所:岐阜県高山市上岡本町7-500-1

営業時間:平日12:00~21:00 / 土日10:00~19:00

定休日:木曜・週末・年末年始

WEBサイト:http://genki-minagiru.com/

・無料体験会実施中!お気軽にご連絡ください。

 

株式会社ステキバリエーション

WEBサイト:https://www.stvariation.org/index.html

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この記事を書いた人

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丸山純平

丸山純平(まるやま じゅんぺい)
高山市出身。株式会社ゴーアヘッドワークス 企画/ライター
ヒダストのほぼ全ての記事を書いています。
最近は飛騨ジモト大学の事務局も担当。
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