子どもたちを温かく見守る「飛驒の雪入道」ー 奥井 京介( 奥井木工舎 )

伝説の妖怪「雪入道」に魅せられた木工作家。自然への畏敬の念と、子どもへの愛を込めて

飛騨高山ものづくり実践塾 作品展「想・創・装 – craftsmanship of hida -」出展作品。

雪深い奥飛騨に伝わる一本足の妖怪「雪入道」

元々は大阪で就職していたのですが、小さな頃から大工道具を使った手加工が好きだったのと、両親の出身地である飛騨への憧れもあり、高山の木工技術専門校に入学しました。現在は奥井木工舎を立ち上げまして、有道杓子を参考にしたオリジナルの「木杓子」や、電動糸鋸機で作る「kotsukotsu」ブランド、調理道具の「切匙 」、そして今回出展する「飛驒の雪入道」を制作しています。雪入道は雪深い奥飛騨に伝わる、雪夜に点々と大きな片足の足跡を残す一本足の妖怪です。昔は、「悪さをすると雪入道に連れてかれるぞ」と、大人たちは子どもに言い聞かせたそうです。そんな雪入道を制作したきっかけは、木杓子を制作する際に出る大きな木片でした。

置物ではなく、個性の光る「妖怪」として込めた魂

木杓子は、ホオノキの丸太を生木のうちに鉈で割り、削り出すように作ります。この際に割れた木片が、木目に沿っていたり、違う方向に割れていたりと表情が豊かで、ねじれや割れをそのまま活かしたいと考えて雪入道が生まれました。置物なのですが、私は「妖怪」として魂を込めている感覚があります。夜中に勝手に動き始めたりはしませんが、大きさや絵付けの違いだけではなく、一体ずつの個性が光って生きていると思います。木肌に触れて味わって欲しいので最小限の加工で仕上げていますし、お客様には自分に合った雪入道と出会っていただきたいので、お店で手にとってご覧いただきたい作品です。

飛騨人の暮らしや風土が伝わる、地域や自然に根ざしたものづくり

素材に使っているホオノキは、家具や小物を始め、郷土料理である朴葉味噌や朴葉寿司にも使われたりと活用用途の多い樹木です。葉っぱの色合いも決して目立つわけではないのですが、影の力持ちみたいな感じがして好きなのです。だからこそ、子どもたちを温かく見守る妖怪として形にしたいですし、ホオノキから飛騨の人の暮らしや風土を連想してもらえたら嬉しいですね。こうした飛騨の豊かな自然があるから、ものづくりもできるし自分も生きていける。私自身、二年前に子どもを授かってからそうした想いが強くなりました。今後はより、地域に伝わる民話や自然に対する畏敬の念を大切に、魂を込めたものづくりを続けていきたいですね。

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工房名:奥井木工舎
代表者:奥井 京介
住所:岐阜県高山市朝日町甲204-1-7

飛騨高山ものづくり実践塾 作品展「想・創・装 – craftsmanship of hida -」開催情報はこちら

飛騨高山ものづくり実践塾 作品展「想・創・装 – craftsmanship of hida -」

開催日程:2020年11月12日(木)〜18日(水)の1週間
時間:午前10時〜午後4時まで
会場:国指定重要文化財 日下部民藝館(大新町1-52)
入場料:無料(開催期間中は入館料も無料となります!)

※駐車場はございませんので、近くのコインパーキングなどご利用ください。

お問い合わせ先

高山市ブランド戦略課
住所:高山市花岡町2丁目18番地 高山市役所4階
TEL:0577-35-3001
E-mail:brand@city.takayama.lg.jp

 

 

飛騨高山ものづくり実践塾作品展 想・創・装
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この記事を書いた人

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丸山純平

丸山純平(まるやま じゅんぺい)
高山市出身。株式会社ゴーアヘッドワークス 企画/ライター
ヒダストのほぼ全ての記事を書いています。
最近は飛騨ジモト大学の事務局も担当。
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