コロナと共に生きる飛騨地方の未来を模索する特別企画「どうなる?!ウィズコロナの飛騨」
第一弾は、飛騨高山のデザイン事務所「ゴーアヘッドワークス」代表取締役の蒲優祐 さん!
飛騨地方の数少ないデザイン事務所として、絵心と郷土愛を武器に活動されるゴーアヘッドワークスさん。コロナ禍で受けた影響や、前向きに取り組んだ活動、今後の方向性などのお話を伺いました。聞き手はヒダスト編集者の丸山純平です。
●蒲優祐のプロフィール
岐阜県高山市出身、1984年生まれ。名古屋のデザイン専門学校を卒業後、数社のデザイン事務所を経て、2012年 ゴーアヘッドワークス設立。「ゴキゲンに楽しく、人を笑顔にさせる」をコンセプトとして、たくさんの人が笑顔になるビジュアルコミュニケーションを目指している。
●蒲優祐のヒダスト インタビュー記事はこちら
コロナ前からリモートワークに取り組む先進性
丸山純平(以下、丸山):早速ですが、蒲さん率いるゴーアヘッドワークスさんでは、コロナの影響はありましたか?
蒲優祐(以下、蒲):単純に売り上げは下がりました。イベントに付随したデザイン物は軒並みキャンセルとなり、飲食店も休業になったので印刷物などの仕事は一気に減りましたね。苦しくなると一番初めに予算が削られる分野ですので、仕方ないかなとは思います。
丸山:印刷会社や広告業界も厳しいですよね…..。コロナに対して、どんな対応をされてきたのですか?
蒲:仕事が減ることは2月の段階で予測できたので、借入や補助金申請などの準備を早くに始めました。3月からは週の半分ほどリモートワークを導入し、緊急事態宣言が出される前、4月に入った段階で完全にリモートワークに切り替えましたね。
丸山:業態がリモートワークに向いているとはいえ、飛騨の企業の中ではかなり先進的な動きですよね?
蒲:実はコロナ関係なく、以前から月に一度ほどリモートワークを試験的に導入していました。オフィスの在り方を考え直して、より働きやすい環境を整備したかったためです。また、僕自身が飛騨高山を中心に東海、全国各地へと出張が多い生活でしたので、WEB会議も日常的に行っていました。おかげでスムーズに移行できましたね。
コロナ禍で仕事も減る中、着実に社内コンテンツに投資
丸山:コロナ前からリモートワークを始められていたのですね!緊急事態宣言など、どんな影響がありましたか?
蒲:会食や出張など、向こう1ヶ月の予定が全てキャンセルになりました(笑)。その内、半分くらいはオンライン会議に変更になりましたね。
交通費や交際費がほぼなくなったので、経費が1/4ほどで抑えられたのは不幸中の幸いかなと思います。
丸山:なるほど。仕事内容ではどんな変化がありましたか?
蒲:仕事が減った分、社内コンテンツの見直しに大きく時間を当てました。具体的には、ホームページのリニューアルや公式キャラクターの作成、新たに始めたかった動画制作などかなりのチャレンジができましたね。
それと社員が自主的に、「そしゃテイクアウトやぞ」といった地域貢献活動を進めてくれたのは嬉しかったです。
ボランティアで始めた取り組みですので利益には直結していませんが、結果的に地域の多くの方に認知いただき、高山市からも支援をくださるとのことで動いて良かったなと思います。
丸山:たくさんのメディアにも掲載されていましたね!このコロナ禍で気づいたことや、感じたことはありますか?
蒲:人との関係性や、時間の使い方を考え直す日々でしたね。例えばこれまでは、長時間のドライブは無駄な時間だと思っていましたが、実は思考の整理に役立つ時間だったと気づきました。
STAY HOME週間では、18時に仕事を終えて家族のごはんを作って、20時から経営者の友人や勉強会の仲間とZoomミーティングして、22時には息子に絵本を読んで寝る生活(笑)。
上手く学び(インプット)の時間と、創作活動(アウトプット)の時間を混ぜながら、ワークライフバランスを保つのが楽しかったですね。こんなに自宅で過ごす生活は初めてでした。
紙からWEBへ。現実が突きつけられた広告業界
丸山:なんだか、理想的な生活ですね(笑)。では、今後のデザイン業界の在り方はどう変わっていきますか?
蒲:業界として厳しい流れは変わらないですね。元々、紙媒体の行く末は危ないとは言われていましたが、STAY HOME週間の影響もあり、世の中の流れは紙からWEBへと一気に加速しています。特に、営業マンが店舗を回って運営していた紙媒体などは相当厳しい……。
また、違う視点だと在宅ワークが普及したことで、仕事を外注する機会が増えたり、外注するハードル自体が低くなっています。つまり、フリーランス(個人事業主)のクリエイターの活躍の場はもっと増えると思います。企業が雇うのは精鋭のディレクターが中心となるでしょうね。
丸山:その中で、ゴーアヘッドワークスさんはどんな方向性に変化していきますか?
蒲:弊社は完全にリモートワークとしました。初回のお打ち合わせやヒアリングも、基本はオンラインで対応していきます。その方がお互いスムーズですし、実際のお仕事が決まってから必要であれば、対面でのお打ち合わせとします。
それと引き続き、WEBコンテンツや動画制作に力を入れていきます。この自粛期間に、弊社で作成した動画なんですけどどうですか?(笑)。こうした新たな強みを発見できたのはコロナのおかげですね。
明確な目的意識がないと旅行しない時代に、デザインの力が発揮される
丸山:もう少し広い話になりますが、今後の飛騨地方(飛騨高山)にはどんな変化があるとお考えですか?
蒲:僕もずっと考えて、悩んでいる状態ではあるのですが、街全体ではなく各店舗や事業、個人のブランディングが必要だと思うのです。
ここからは僕の憶測で話します。例えば観光業で言えば、これから当分の期間の旅行は、はっきりとした目的があっての旅行が中心になると考えます。「この宿に泊まって、この景色を見ながら、この料理を食べたい」とか、「この人に会いに行って、この話を聞きながら、このお酒を飲む」とか、かなり具体的な旅行計画を立てるイメージです。わざわざ行かないとできない体験や出会いがもっと価値を持ちます。
丸山:たしかに、それだけ明確な目的意識がないと、気軽に旅行へは行けない世の中ですよね。
蒲:なんとなく飛騨高山へ行こうってお客さんは減りそうですね。ですから、今まで、観光地 飛騨高山のブランドにぶら下がっていた事業者さんは厳しいでしょう。
逆に言えば、明確にターゲットを絞り、そこに刺さる良いコンテンツを創り出せる事業者さんは小規模でも確実に残ります。
僕らは、そうした事業者さんをデザインの力でお手伝いしたいですし、時代にマッチしたブランディング手法を展開するべく、WEBや動画に力を入れています。
丸山:とても参考になりました!最後に、飛騨人へのメッセージがありましたら教えてください!
蒲:なんだか偉そうなことを言いましたが、僕らも厳しい状況の中で模索し続けています。やっぱり間違いないのは、前向きにコロナを捉えて、知恵を絞って形にしていくことです。それも、この飛騨の地だからこその強みは見失わずに活かしたい。
緊急事態宣言も解除されたので、徐々にリアルな場所に繰り出しながら、どんどん情報交換しようと思っています!ぜひ、お声掛けください。
丸山:蒲さん、ありがとうございました!
蒲優祐とオンラインで話そう!
飛騨高山でも徐々に観光客が増え始めているものの、かつての賑わいを取り戻すには長い時間がかかることは明白です。大規模なイベントの開催も難しい現状、広告・デザイン業界への経済的な影響は今後も続きそうです。
それでも前向きに、時代の変化を捉え続ける蒲さん。デザインの力を信じて、この街に新たな価値観を創り続けます。
そんな蒲さんとオンラインでお話しされたい方はこちらから。お問い合わせください!