木材が自然に放つ成分を活用「キュア ファニシング」ー 牧野 泰之( マキノウッドワークス )

木が持つ成分を利用する新しい木材活用を研究。木で住空間の空気質をコントロール。

飛騨高山ものづくり実践塾 作品展「想・創・装 – craftsmanship of hida -」出展作品。

住まいの空気をデザインする「キュアファニシング」ブランド

快適な住まいづくりを志して、前職では住設メーカーに勤めていました。働いていく中で作り手に憧れ、飛騨高山の木工訓練校に入校したのがものづくりとの出会いです。あれから二十年。現在は、キッチンを中心に制作しているのですが、昨年、木材を岐阜県生活技術研究所へと持ち込み、木から放出される成分を調査したことが大きな転機となりました。調査の結果、予想を超える二十七種類の成分が検出され、その中には人間の精神を安定させたり、睡眠の質を改善させる成分も含まれていたのです。この、木の本来持つ成分を活かして、住まいの空気をデザインする家具を作ろうと「キュア ファニシング」ブランドが生まれました。

木の成分を阻害しないために、たどり着いた伝統工具「ヤリガンナ」

キュア ファニシングの家具は、私が木材市場で購入した伐採地の分かる飛騨の木を使用しています。製材にも立会い、長い時間をかけて天然乾燥させたこだわりの材料です。木の成分を活かすべく、仕上げにもこだわりました。以前までは、サンドペーパーを使って磨き上げていましたが、ペーパーの摩擦熱や接着剤から本来の木には存在しない成分が生成されることがわかり、木の成分を阻害しない技法として日本古来の伝統工具である「カンナ」、「ヤリガンナ」にたどり着きました。「ヤリガンナ」は現代の家具作りでは全く使われない工具ですが、鋭利な刃物で切った断面が最も木の放散成分が出ますので、私が目指すものづくりには必要でした。

新たな視点から徹底的にこだわる。日本の木の秘めたる可能性を信じて。

座面には、地元の飛騨牛の革「HIDA Leather®」を使用しています。三年前に家具用革として自身で開発したものです。革は一般的には金属クロムを使ってなめしていくのですが、私は植物成分を使用しています。木部は経年変化で色艶が良くなるのですが、合わせる革に金属成分を使用すると、経年変化が微妙に木部と合わなくなるためです。こうした制約の中で、飛騨産の材料と木が持つ成分にこだわり、余分を削ぎ落としてミニマルに仕上げたインテリア・家具を作っています。欧州に比べて樹種が十倍以上と豊富な日本の木には秘めたる可能性があります。今後も木材からの微細放散成分を研究し、これまでの木材活用に捉われない新たなものづくりへ挑戦し続けていきます。

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工房名:マキノウッドワークス
代表者:牧野泰之
住所:岐阜県高山市一之宮町クルミ谷7019-5
TEL:050-3708-3970

飛騨高山ものづくり実践塾 作品展「想・創・装 – craftsmanship of hida -」開催情報はこちら

飛騨高山ものづくり実践塾 作品展「想・創・装 – craftsmanship of hida -」

開催日程:2020年11月12日(木)〜18日(水)の1週間
時間:午前10時〜午後4時まで
会場:国指定重要文化財 日下部民藝館(大新町1-52)
入場料:無料(開催期間中は入館料も無料となります!)

※駐車場はございませんので、近くのコインパーキングなどご利用ください。

お問い合わせ先

高山市ブランド戦略課
住所:高山市花岡町2丁目18番地 高山市役所4階
TEL:0577-35-3001
E-mail:brand@city.takayama.lg.jp

 

 

飛騨高山ものづくり実践塾作品展 想・創・装
高山市公式ホームページ

 

 

この記事を書いた人

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丸山純平

丸山純平(まるやま じゅんぺい)
高山市出身。株式会社ゴーアヘッドワークス 企画/ライター
ヒダストのほぼ全ての記事を書いています。
最近は飛騨ジモト大学の事務局も担当。
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