「気軽な大衆居酒屋 あじ平」が、飛騨高山の夜を楽しくする ー 角岡 真一 ( 有限会社あじ平 代表取締役 )

高山市初田町で「気軽な大衆居酒屋 あじ平」を経営する角岡 真一さん。

新鮮な海の幸から飛騨を代表する郷土料理まで、幅広く味わえる居酒屋として人気を博している「あじ平」ですが、現在の人気店に至るまではさまざまな試行錯誤の日々がありました。

「高山の夜が楽しくなります様に。」そんな願いに込められた角岡さんの想いとは?
一杯飲みに行く前にぜひご一読ください!

「あじ平」と共に生まれ育ち、上京を経て店長に

高山市初田町で生まれました。父親はホテルや旅館に勤める料理人だったんやけど、僕が生後10ヶ月の時に独立して「あじ平」がオープンします。あじ平と共に成長してきまして、中学生くらいからお店のお手伝いもしていたかな。

 

父親から「やりたいことをやってみたら」と言われとったんやけど、漠然と生きていた僕は高校を卒業してからもずっとお店を手伝っていました。正直、商売という感覚ではなくてただただ惰性で・・お店のために何をしたら良いかも分からなかったです。

主体的になれない環境を変えたかったのと都会への憧れもあり、24歳の時に上京します。東京一の繁華街で特殊な職業に挑戦してみたくて、新宿歌舞伎町の麻雀屋に務めました。仕事内容としては接客対応はもちろんあるけれども、お客さんと麻雀するのがメインです。麻雀は4人じゃないと打てないからね。詳しくは言えないけれど、給料もすぐになくなったな(笑)。2年間ほど働きましたがすごく良い経験やったね。

 

高山に帰ってきてからは父親と話し合って、「あじ平の店長」を名乗ってお店を回すようになりました。時代背景もあったけれど、当時は年商が全盛期の半分くらいまで落ち込んでいたんやさな。自分が責任を持って、お店を成長させる意識で関わり始めた。

 

まずは手元のものを変化させようと、七味を高山産に変え、お塩も魚介類の産地に合わせて北陸産に。ホワイトボードに書いていた日替わりメニューを手書きにしたりと、あまりお金がかからないことばかりやけど、手元は宴会中もずっと見えているところやからね。

 

メニュー表も何回も書き換えてラインナップを試行錯誤したりと、3年くらいは目の前のことで精一杯やったね。夢中で働いた時間やったけれど、地元の同業者の繋がりに助けられることがたくさんあったな。

飲食業は、すごくシンプルで分かりやすい商売

ある程度、お店の基礎ができた段階で、店名を「気軽な大衆居酒屋あじ平」に変えました。昔は「魚道楽 あじ平」だったんやけど、メニューの価格は安くなっていて、お客さんのイメージが合わない気がしたのさ。

気軽な大衆居酒屋のイメージをどう作っていくのか?目指すべきコンセプトがはっきりしたからこそ、ホームページだったりとお金をかけるべきところも分かった。後はより数字を見るようになったのかな。どうすれば売上が上がるのか意識したら、スタッフがだんだん増えていき、業績も回復していったかな。

 

飲食業の面白いところは、すごくシンプルで分かりやすい商売やよね。お客さんの方から足を運んで来てくださり、僕らはお給仕をして飲食を楽しんでいただく。最後にお金を受け取って「ありがとうございました」とお伝えしたら、「ありがとう」や「美味しかったよ」と返ってくる。起承転結が短い商売やからこそ、日々試行錯誤していろんな挑戦ができる。

 

観光客のお客さんは昔は正直少なかったけれど、最近増えてきたな。ある程度、どんな食材でもあるメニュー構成に変えて、郷土料理も増やして、地元のお客さんに紹介してもらいやすいお店にしていった結果かな。特に注力しているわけではないけども、海外のお客さんもよく訪れるんやさ。5年前は1週間に一組程度だったのが、今は1日に数組ほど。ありがたいことやな。

 

やけど、飛騨の観光客向けの食では「飛騨牛」ばかりが押し出されているような気がする。確かに美味しいけれど、高山に来てもらって飛騨牛だけ食べて帰るのはもったいないかな。「漬物ステーキ」や「ほうば味噌」のように食べて美味しくて、帰ってからも話題になりやすい郷土料理もある。

 

それと、飛騨高山は観光の街ではあるけれど、夜の観光が弱いよな。治安が良い地域ではあるんだから、気のある夜の街をつくっていきたい。あじ平は気軽な大衆居酒屋だからさ、ガラガラだったらその雰囲気は楽しめないのよ。「高山で泊まって飲まないの?もったいないなあ」と言えるくらい、高山の楽しい夜をみんなで創っていきたいな。

味と雰囲気を楽しめる「気軽な大衆居酒屋」を守り続けていく

日本全体で少子高齢化が加速しているよな。生産年齢人口(15歳〜64歳)が減っていて、特に飛騨地域は減少のスピードが速い課題先進地域。なにか解決していく方法があるといいよな・・。飲食業界や旅館・ホテルといったサービス業が一番初めに打撃を受ける職種やから、もっと危機感を持って取り組んでいかんと。

あじ平では基本的にスタッフ同士の紹介で仲間を集めています。求人広告を出すのもいいんやけど、お互いに気持ち良いマッチングに到るまでは難しいわな。その点、スタッフの紹介であれば信頼できるし、スタッフ側も知っている者同士で良いお店をつくっていける。

 

当面の目標は、正社員の休みを増やすことやな。飲食の従業員って働く日数や時間が多いんやさな。残業なしの8時間労働はできているから、週2日しっかり休めるようにしていきたい。従業員が気持ち良く働けない場所じゃ、お客さんも楽しく飲めんやろ。

でもやっぱり店舗も増やしていきたいな。せっかくなら高山駅前で、観光客向けにコテコテの居酒屋をやってみたい。社員が大変にならないように、どうしたら上手く両立できるのかを考えているところなんや。

 

いろんな挑戦を広げたいけれども、あじ平はコンセプトを変えずに続けていきたい。昔ながらの居酒屋が最近では減っているからこそ、味と雰囲気を楽しめる「気軽な大衆居酒屋」を守り続けていく。それが僕の決意でもあり、飛騨高山の夜を楽しくするためにあじ平ができることなんやさな。そう信じとる。

 

数多くの飲食店が軒を連ねる飛騨高山。どのお店にも歴史があり、受け継いできた想いがあります。ただ、飲んで食べて消費するだけの時間ではなく、そんな想いに触れることで、今日の一杯がより味わい深いものとなりますように。あじ平は今日も、飛騨高山の夜を楽しく賑やかに彩ります。

連絡先

角岡真一
https://www.facebook.com/shinichi6767

気軽な大衆居酒屋あじ平
https://www.facebook.com/ajihei.jp/

公式ホームページ
http://www.aji-hei.jp/index.html

この記事を書いた人

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丸山純平

丸山純平(まるやま じゅんぺい)
高山市出身。株式会社ゴーアヘッドワークス 企画/ライター
ヒダストのほぼ全ての記事を書いています。
最近は飛騨ジモト大学の事務局も担当。
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