魂を込めた一位一刀彫の真髄「般若」ー 鷲塚 浩( 鷲塚彫刻 / 彫号 沐仁 / 伝統工芸士 )

彫り続けて三十年、まだまだ道半ば。職人が無心で彫る魂を震わせる作品。

飛騨高山ものづくり実践塾 作品展「想・創・装 – craftsmanship of hida -」出展作品。

イチイの木目の流れを活かす、豪快かつ繊細な彫り。

小さな頃から木工作が好きで、美術や工作の時間には友人の分まで作るほどでした。自然と彫刻の道を志し、高校を卒業してからは、飛騨の伝統工芸である「一位一刀彫」の師匠の元で修行しました。

一位一刀彫では、その名の通りイチイの木を使用します。非常に綺麗な木目が出ることがイチイの特徴ですので、その木目の流れを活かして豪快に、ときには細やかに彫り、イチイの魅力を最大限に活かすのが一位一刀彫の真髄です。

いつもは朝から仕事を始めて、お昼と夕方に休憩を挟みながら深夜までひたすら彫り続けます。腰や肩の痛みは避けられないですが、趣味のサッカーも続けながら健康を保っています。

魂を込めて彫った木目が作り出す般若の表情に注目。

今回、出展させていただく「般若」は、情念が籠もった女性の表情を映し出した作品です。

顔の中心から左右に広がったイチイの木目がまるで般若の表情を作り出すように、彫り跡を意識して残しています。そうした力強い彫りの反面、実際の手触りは非常に滑らかな仕上がりとなっております。

彫刻の魅力は、こうした古典的なデザインを形にしながら、迫力や立体感を出せるところだと思います。とくにこの般若は、眉間にシワを寄せた怒りの中に、嫉妬や悲しみといった様々な感情がうごめいています。その表現には苦労しました。ぜひ、いろんな角度からじっくりと見ていただけると嬉しいです。

預けられた仕事を丁寧にこなして、お客様にしっかり収める。それだけ

約三十年、彫刻を続けてきました。基本は作りたいイメージに沿って考えながら彫っていくのですが、あるときにハマる瞬間があります。ひたすらに集中して無心で彫れているときは本当に楽しいです。一方で、描いたイメージに対して自分の技術や表現力が追いつかない時は苦しいですね。

だまだ道半ば。大きな夢なんてないです。預けられた仕事を丁寧にこなして、お客様にしっかり収めることが大事です。それでも、作品を展示させていただいたときに、何気なく通り過ぎようとしたお客様が僕の作品を見て、足をピタッと止めて見入る瞬間はたまらないですね。

魂を込めて彫った作品ですから、伝われば嬉しく思います。

鷲塚彫刻さんの連絡先はこちら

工房名:鷲塚彫刻
代表者:鷲塚 浩 (彫号 沐仁)
住所:〒506-0824 岐阜県高山市片野町5丁目692−9
TEL:0577-35-2136

飛騨高山ものづくり実践塾 作品展「想・創・装 – craftsmanship of hida -」開催情報はこちら

飛騨高山ものづくり実践塾 作品展「想・創・装 – craftsmanship of hida -」

開催日程:2020年11月12日(木)〜18日(水)の1週間
時間:午前10時〜午後4時まで
会場:国指定重要文化財 日下部民藝館(大新町1-52)
入場料:無料(開催期間中は入館料も無料となります!)

※駐車場はございませんので、近くのコインパーキングなどご利用ください。

お問い合わせ先

高山市ブランド戦略課
住所:高山市花岡町2丁目18番地 高山市役所4階
TEL:0577-35-3001
E-mail:brand@city.takayama.lg.jp

 

 

飛騨高山ものづくり実践塾作品展 想・創・装
高山市公式ホームページ

 

 

この記事を書いた人

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丸山純平

丸山純平(まるやま じゅんぺい)
高山市出身。株式会社ゴーアヘッドワークス 企画/ライター
ヒダストのほぼ全ての記事を書いています。
最近は飛騨ジモト大学の事務局も担当。
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